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Sat.

イタリア国民投票と日本の国民投票法案

 実はこの記事、私自身数週間前まで知らなかった。日本が通常国会であくせくしていた丁度同時期にイタリアでは、右派政権が提出した新自由主義に基づく改憲案をめぐり国民投票が行われていた。当然、右派・左派を挙げての大決戦になり、結果として61%の多数で右派政権の提出した改憲案は否決されていたのだ。
 2005年の生殖補助医療に関する国民投票(イタリアは憲法改正以外でも国民投票ができる制度)はいくつかのブログでも紹介されているが、この2006年の憲法改正国民投票は日本ではほとんど知られていない。
 詳細は、参議院憲法調査会事務局の報告書に詳しく書かれてあるが、簡単に説明してみる。

 EU憲法採択を前に右傾化が著しくなった2003年、メディア関係の大富豪ベルルスコーニ(「共産主義は赤ん坊を茹でる」などの暴言で有名)右派政権が憲法改正案を提出した。内容は、①保健衛生の福祉、教育、警察権などを中央から地方の専権事項へ移行する地方分権、②「同輩中の首席」にすぎない首相を大統領のように権限の著しい強化、③ファシズムの反省から生まれた、上下両院の完全平等を内容とする「完全なる二院政」の廃止というものだった。
 ここまで読んで、新憲法草案を読んだことがある方ならおわかりになるだろうが、このイタリアの改憲案は非常に新憲法草案に似ている。福祉や教育といった国から見れば採算の悪い部門を地方に押しつけてしまおう、反面、戦争のような複数の省庁をとりまとめなくてはならない問題に対応できるよう首相の権限を飛躍的に強化しようというわけだ。新憲法草案からは外れたが、日本でも次期参議院選が自民党政権の終焉となるかが取り沙汰され、もともと自民党は新憲法草案以前の改憲案では二院政の廃止を求めている。
 イタリアはご存じのとおり、日本・ドイツと同じく先の大戦の敗戦国だ。
 このイタリアの国民投票は、日本の右傾改憲の結果の先取りともいえる国民投票だったといえるだろう。

 この国民投票をめぐる左右の攻防はなかなか興味深い、以下憲法調査会の一文を引用してみる。

イタリアの国民投票運動は、二段階に分けられる。
一段階目は、いわば「国民投票そのものを実現するための運動」であり、その中心は
50万人の署名集めである(今回は2か月間で、公称83 万人の署名が収集された)。国民投票を要求できる期間は議決の官報掲載後3か月以内に限られているため、署名活動に費やしうる正味時間は短いが、今回、反対派は改正案否決に向けて、法案審議中の2004 年から組織的運動を行ってきた。中心は後にcomitato promotore(促進委員会)となる112 立法と調査2006.9 No.259Comitato per il referendum sulla riforma della seconda parte della costituzione-Salviamo lacostituzione(「憲法を守ろう」)である。なお、改正に賛成であれば国民投票の手続は不要であり、反対派による同種の委員会はない。中心人物は、現行憲法の制憲議会にも在籍した護憲派の長老、元大統領・上院終身議員のスカルファノであり(大統領当時は憲法の番人として、ベルルスコーニと対立した) 、中道左派、イタリア労働総同盟など組合の連合体、その他の各種団体の連合体と連携して運動を展開した。
署名簿は2月17 日に破棄院国民投票中央委員会事務局に提出され、国会議員と州議会の要求が21 日に適法とされた時点で国民投票の実施が確定した。初回2001 年の憲法改正国民投票は、中道左派国会議員の請求によるものであったが、今回は国会議員、州議会、国民の三者共に資格を備えた。
二段階目は、「国民投票における賛否を求める運動」である。
規制を受ける投票運動の主体は、先の促進委員会に加え、議会の1院かEU議会に議席を持つ政党などであり、今回は賛成派7、反対派10 の団体に適用された。反対派は、南北の経済格差の拡大による社会的権利等の保障の弱体化、首相の権限強化と二院制の弱体化による権力の均衡の破壊など、実質的に憲法の基本原則を侵し骨格を崩す点を指摘した。中道左派は首相が独裁化することや、民主主義をゆがめることを理由に反対し、スカルファノは「スーパー首相はいらない」と主張(L'espresso、2006.6.16)、チャンピも「単一制国家を連邦制国家とし、議院内閣制から首相型にして、首相のカウンターバランスが共和国大統領にも議会にもないとなると、憲法審査には耐えられない。それは憲法が禁じることだ」と批判した(La Republic、2006.6.23)。ベルルスコーニ前首相ら中道右派は安定した政権・迅速な決定等の改革案の利点を宣伝したが、「賛成と投票しないイタリア人には価値がない」というキャンペーンは逆に有権者の反発を買った。



 改憲反対派の統一的反対運動は、世論を変え、わずか三か月間で集めなくてはいけない50万人の国民の国民投票の申立を得、そして、改憲内容の是非の論争、世論拡大でも勝利し、結果として圧倒的な差(否決61%)で改正反対派が勝利したのだ。
 現在でも、右派は改憲を諦めていないようであるが、ベルルスコーニ右派政権は倒れ、現在では中道左派政府となっている。また、イタリアのように緩やかな基準で憲法改正ができる制度(軟性憲法制度)を改め、日本のような憲法改正の基準をより厳しくする制度とする動きもあるのだそうだ。
 
 イタリアでは、日本の法案のような国会多数派によるメディア独占規定(■)はない。ベルルスコーニはメディア界の大物で、世界の金持ちランキングにも二桁代で入ってしまう人物だった。もしメディアが濫用されていたら、この結果一体どうなっていただろうか。
 そして今、私たちは金と国会議員の数でメディアが独占されることを認める国民投票法案の制定を認めるか認めないかの瀬戸際に立っている。
 もしこのまま国民投票法案が通ってしまったとき、気づいたときには全てが遅いのかもしれない。
 
■【イタリア国民投票制度】以前の記事にも書いたが、現在の政府・民主の国民投票法案は、マスメディアの国会議席数による独占制度を設けているが、イタリア国民投票法では、議席数ではなくて、「改憲派」と「賛成派」でテレビ等の宣伝に使える時間数などを公平に分配することが義務づけられている。このことを、憲法調査会は当然知っているが、政府・民主党ともに知らない振りをし続けている。 
 
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00:40 | 憲法・国民投票法案 | comments (8) | trackback (-) | page top↑
安部さん、あなたは何時の時代の教育に「再生」させたいのか? | top | 民主党 国民投票法案でも反対することを表明

Comments

# 国民投票法案の行方・・・。
DANZOさま いよいよ安倍新政権の始まりですね。
興味深いテーマの連続ですごくいい情報をいただいてます・・・感謝です(^^)イタリアはすごいですね。

憲法改正(改定)国民投票法について、住民投票を広めてきたジャーナリストの友人とのお話の中で「護憲派は組織だって土俵を作らないと、改憲派に先を越されることになる、巻町や岩国での住民投票の勝利も事前に住民が土俵を作ってかかったからなんですよ」と語っています。
護憲派はなかなかまとまらない現状や「(極)右傾化する新内閣」を見れば「国民投票法反対!」の立場を取ることが今は大事だと思います。
ただ、イタリアのように「国民投票でNO!」を叩き付けたい思いは強いのですが・・・私は日本国憲法・教育基本法があったからこそ戦後日本の繁栄があると思っています。

共謀罪など週明けの臨時国会の法務委員会は注目ですね。委員長は法務畑の人ではないようですけれど・・・。
健康に注意してこれからも鋭くDANZO~してください(^^)Y
by: こば☆ふみ | 2006/09/30 23:31 | URL [編集] | page top↑
# いよいよですね
>こば☆ふみさん
こんにちわ。今の国民投票法案(改憲手続法案)では、例え護憲派が一体となったとしても、制度的にとても勝つことはできないと思います。小選挙区制と同じぐらいの不公正さがにじみ出た法案だと思います。
この問題については、法案提出後も情報があまり世に出てこないのでなるべく表に出していこうと思っています。
 なお、今国会の節目は、大阪9区と神奈川16区の衆議院補選の後くらいではないでしょうか。ここまでに多くの情報を有権者が持つことができるようにする必要がありそうです。
身体には気をつけます(^^)ありがとうございます。
by: DANZO | 2006/10/01 17:20 | URL [編集] | page top↑
# h
<質問その1>
「インチキくさい世論調査によって、政策が左右されているペテン民主主義国家・日本」の住民である私は、他国の国民投票に強い憧れを持っています。

しかし、その種の国民投票は、現憲法の改定が必要であろうと考え、(そうなると、他の部分が大幅に改悪される危険があると思って) 国民投票は諦めています。
「イタリアのような国民投票は、現憲法のままでは日本では制定できない」という私の考えは正しいのでしょうか?


<質問その2>
憲法の改正に限るという「自民党の国民投票法」は、現憲法に改正手続きがあるので可能だ思いますが

憲法改正に限るのなら、「憲法改正が両院で決議された後に、憲法改正投票法が作られるのが正しい順序だ」と私は思うのですが、
法的にはどうなのでしょう?
by: コギトエルゴスム | 2006/10/03 13:24 | URL [編集] | page top↑
# 上記 タイトル h の意味
「二つ(hutatu)の質問」と書こうとしたら、メールが勝手に飛んで行ってしまいました。ごめんなさい。
by: コギトエルゴスム | 2006/10/03 13:43 | URL [編集] | page top↑
# Noと言える国民投票
DANZOさん、こんばんは。お身体いかがですか?心配しております。

今回のイタリアの事例、法律家ならではの貴重な報告で、ありがたく読ませていただきました。ベルルスコーニが政権に何年も座るような国でも、こういう機会には民意がきちんと出るのだと感激いたしました。このエントリーが多くの人に読まれるよう応援します。

国の憲法とはちょっと違いますが、欧州憲法のフランスとオランダの国民投票で否決という結果が出たこともありました。賛成、反対それぞれに理があり、判断に難しい投票でしたが、推進していた国家側は可決したかったわけですから、これにノーという判断が出るというのは民主主義の現われだと感じたものです。この時のマスメディアの姿勢も公正のようでしたし、賛成・反対それぞれのキャンペーンもどちらかがもう片方を政治的力で押しつぶすこともなく、国民が自分の良心にしたがって判断していたように見えました。

民意が国家によって操作されるような国民投票法を作ることは民主主義の名にふさわしくないことであると日本の野党は肝に銘じてほしいと思います。
by: 村野瀬玲奈 | 2006/10/03 22:49 | URL [編集] | page top↑
# >コギトエルゴスムさん
>質問その1について
「イタリアのような国民投票は、現憲法のままでは日本では制定できない」という私の考えは正しいのでしょうか?

それはないです。憲法上は、「特別の国民投票」によって「国民の過半数の承認」が必要となっているだけなので、国民投票の手続にありかたについて、今の法案のようにしなくてはいけない必然性などどこにもありません。逆に、憲法改正を極めて重大な問題と考え、間接民主主義(国会議員)でなく、直接国民が決めなさい(直接民主主義)と言っているのですから、法案のように、国会議員の数で広報を独占することを決めることは、憲法の求める趣旨に反するともいえます。

>質問その2について
憲法改正に限るのなら、「憲法改正が両院で決議された後に、憲法改正投票法が作られるのが正しい順序だ」と私は思うのですが、法的にはどうなのでしょう?

 それはあり得る考え方です。例えば、フランスでは、国民投票の手続については、法律ではなく、より下位のデクレ(命令)で、改憲案の発議後に決められrます。いずれにせよ、憲法改正の是非は、国民投票で決めなさいといっているに過ぎないので、発議前につくるのか後につくるのかは憲法の要求するところではありません。
by: DANZO | 2006/10/04 02:07 | URL [編集] | page top↑
# >村野瀬さん
身体の方は大丈夫です。心配していただいて感謝しております(直りそうなところでお馬鹿なことをしてしまうので時間がかかってしまいました。)。

ヨーロッパでは、国民投票そのものや「公平」という概念についての意識が日本とは異なるようですね。
 ちなみに、国会議員の方々が、よく言うことなのですが、ヨーロッパでは何十回も憲法を改正しているのに日本は一度もないのが異常だ、だから憲法を時代に即した新しいものにすべきだという考え方があります。
しかし、例えば記事のイタリアなどは、憲法改正は確かに行っていますが、統治機構や権利規定などの改正はなく、これはほとんどの欧州の国も同じ状況です。ヨーロッパの古い憲法は、実に細かいことまで規定していることが多く(例えば、スイスでは道路の通行方法や税金の率などまで憲法で規定しています。)、日本の憲法のように国の基本構造に関わるもの以外の規定が盛り込まれています。税率などは変えるのが当たり前なので、必然的に憲法改正が多くなります。
日本の憲法には、人権規定・平和主義・平和主義・統治機構という国の根幹部分の規定しかありませんので、ヨーロッパとは異なり、憲法の改正=根幹部分の変更となってしまいます。このような状況であるのに、「まぁいいんじゃないの」的な発想を持つ方がいるのは不思議なことですね。

 村野瀬さんのことを私、ずっと「村野」さんだと思っておりました、大変失礼いたしました。
by: DANZO | 2006/10/04 02:23 | URL [編集] | page top↑
# 観光英語検定試験
観光英語検定試験とは、海外へ旅行する日本人、また日本を訪れる外国人が増加する昨今、旅行・観光・ホテル・レストランサービス等の職業に従事する者の英語による業務の基礎的技術の向上を目的に、全国語学ビジネス観光教育協会の専門学校を中心に実施される試験 http://lapidary.stepuptechnologies.com/
by: | 2008/11/06 01:36 | URL [編集] | page top↑

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